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【もみじと苔の寺】苔と紅葉が美しい穴場「京都 祇王寺(ぎおうじ)」に行く方法【京都観光】

目次

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  1. 京都・嵐山「祇王寺 / ぎおうじ」の秋の紅葉
  2. 祇王寺への行き方 / アクセス方法
  3. 祇王寺の入り口
    1. 藁葺き屋根の苔
  4. 祇王寺の営業時間と拝観料
  5. 祇王寺 境内の庭園
    1. 苔の上に朽ちる もみじの葉
    2. 光が差し込む紅葉の木漏れ日
  6. 祇王寺の奥の草庵へ
    1. 吉野窓 / 虹の窓
  7. 平家物語と祇王寺のつながり
  8. 平家物語に心を馳せる京都・嵐山のお寺「祇王寺」

京都・嵐山「祇王寺 / ぎおうじ」の秋の紅葉

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

京都に行ったら苔ともみじが美しいお寺に行きたいと思っている方へ、とっておきの穴場のお寺をご紹介します。

京都・嵐山にひっそりと佇むお寺「祇王寺(ぎおうじ)」は、平家物語ゆかりのお寺として知られていますが、庭園にある苔やもみじがとても美しく、知る人ぞ知る穴場の京都観光スポットとなっています。

「祇王寺(ぎおうじ)」は四季折々の景観がとても素晴らしく、京都嵐山に来たらぜひとも訪れておきたいお寺です。

私達はちょうど秋のもみじが美しく彩る時期に訪れましたが、「祇王寺(ぎおうじ)」は庭園の苔もとても素晴らしく、苔は年間を通して愛でることが出来ます。

今回は京都の隠れた穴場のお寺「祇王寺(ぎおうじ)」をご案内したいと思います。


祇王寺への行き方 / アクセス方法

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

祇王寺のある場所は、京都・嵐山の中心エリアから少し北に向かった場所になり、お寺などが集まる山の麓となっています。近隣の道はとても狭く、車1台が通るのがやっとで車を停めるようなスペースはありません。

祇王寺の付近には駐車場は設けられていないので、車でアクセスする場合は、嵐山の中心エリアでコインパーキングを見つけるなどして駐車場を確保し、そこから歩いて訪れることになります。

ただし、春の桜や秋の紅葉シーズンには嵐山中心部でも駐車スペースを見つけるのは難しくなるので注意してください。できれば市バスか電車で向かうのがおすすめです。

私たちは嵐山から人力車に乗って向かいました。

【人力車 観光】時間がない人におすすめ!人力車で嵐山の名所を観光【京都観光】 観光 【人力車 観光】時間がない人におすすめ!人力車で嵐山の名所を観光【京都観光】 えびす屋さんの人力車で、京都・嵐山の秋の紅葉観光に行ってきたので、その気になる内容や、値段 / 価格、そして実際に乗ってみた感想などを実体験レビュー!京都・嵐山で楽しむ人力車観光は、格別感があるので、一度は体験してみてほしいアクティビティの一つだ。
京都・嵐山 祇王寺への行き方(電車)
  • 京福電鉄嵐山線「嵐山」駅下車徒歩25分
  • JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅下車徒歩25分
京都・嵐山 祇王寺への行き方(市バス)
  • 京都駅からは市バス28番で約50分「嵯峨小学校前」下車、徒歩17分
  • 四条河原町からは市バス11番で約50分「嵯峨小学校前」下車、徒歩17分
  • 四条烏丸からは市バス91番で約45分「嵯峨釈迦堂前」下車、徒歩15分
  • 阪急嵐山駅からは市バス28番で約10分「嵯峨釈迦堂前」下車、徒歩15分
京都・嵐山 祇王寺への行き方(車・駐車場)
収容台数 自家用車:3台
※付近の道は狭く、また駐車場も3台しか止められません。お寺の方や業者の方の車が停まっていたりするので駐車場が空いていることはほぼ無いと思った方がいいです。

祇王寺の入り口

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

祇王寺の入り口がこちら。とても素朴な佇まいの門構えとなっていますが、お寺の境内からは、すでに段々と色付き始めている紅葉の木が見えています。苔ともみじに彩られた門はとても風情があります。

藁葺き屋根の苔

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

祇王寺の門の藁葺き屋根には、立派な苔がびっしりと生えています。少し朽ちたような雰囲気は、この祇王寺が重ねてきた歴史の重みを感じさせます。


祇王寺の営業時間と拝観料

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

祇王寺は入場するのに拝観料が必要となります。詳細は以下のとおりです。

京都 祇王寺【参拝料と参拝時間】
  • 大人  :300円
  • 小中高 :100円
  • 未就学児:無料
  • ※受付時に障害者手帳または特定医療費(指定難病)受給者証を提示した人は、本人のみ参拝料が免除
  • 参拝時間:9:00~16:30(受付終了)
    ※16:50まで参拝可能。
  • ペット同伴での参拝は不可(リード付きや、ケージに入れての場合も不可)
    ※盲導犬、聴導犬は除く。

なお、ここから更に北東に25分歩いた場所にある有名なお寺「大覚寺」と、ここ「祇王寺」の共通拝観券も600円で販売されているので(ばらばらで拝観すると800円掛かります)、もしも両方のお寺を回りたい場合は、窓口で共通拝観券を購入するとお得です。


祇王寺 境内の庭園

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

祇王寺の中に入ると、目の前には小さいながらも見事な、紅葉と苔の庭園が広がります。私達が今回訪れたのは11月20日。

11月下旬ではありましたが、まだ冷え込みが足らないとのことで、紅葉はまだ50%程度の色付き加減でした。

もみじの色づきは真っ赤では無いですが、緑から黄緑、オレンジ、赤へと変わっていくグラデーションがとても素晴らしく、訪れる人の心を捉えて離さない魅力にあふれています。

苔の上に朽ちる もみじの葉

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

先程、少し小雨が降っていたのですが、その雨露に濡れた苔はキラキラと輝いていてとても美しく見るものを虜にします。実は、この祇王寺は、苔寺としても知る人ぞ知るお寺です。小雨が降った後の苔は艷やかに輝き、生き生きとした緑が広がります。

庭園の地面には見事な苔がびっしりと生い茂っており、その苔の上に枯れたもみじの葉が落ちて朽ちていく様はとても素晴らしく、誰もがしばらく見入ってしまう美しさです。

光が差し込む紅葉の木漏れ日

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

また、太陽が見えると、もみじの葉のすき間から溢れた日光の木漏れ日が苔の地面に差し込む様も見事です。

そう、この祇王寺は、晴れても、雨が降っても、それぞれ違った美しい自然の有り様を見せてくれるお寺なんです。


祇王寺の奥の草庵へ

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

次に私達は、祇王寺の境内の奥にある「草庵」へと足を運んでみました。

ここには、本尊大日如来、清盛公、祇王、祇女、母刀自、仏御前の木像が安置されている(木像などは写真撮影禁止)のですが、平清盛の木像だけ、障子の間に隠れるように供えられているのです。

これは祇王寺ゆかりの祇王や仏御前の女心をうまく表していて、とても興味深いです。(最後に祇王寺について歴史を解説しているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。)

吉野窓 / 虹の窓

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

この草庵の奥の控えの間には「吉野窓」という大きな障子窓があります。

この「吉野窓」は、窓の格子と外の竹やぶが交差し、影が色づいてみることから「虹の窓」とも呼ばれています。

その吉野窓の前には祇王寺の名所を切り取った箱庭のようなミニチュアも置かれていました。


平家物語と祇王寺のつながり

最後に、この祇王寺と平家物語のつながりを少し紹介しておきたいと思います。

この祇王寺は、もともと平清盛に寵愛を受けていた白拍子(平安末期~鎌倉時代に起こった歌舞伎の一種、またそれを演じる遊女のこと)「祇王 / ぎおう」が、平清盛の心変わりにより邸を追われ、最後にたどり着いた尼寺です。

ここで、妹の祇女、母 刀自(とじ)、そして後で合流することになる、祇王が平清盛に捨てられるきっかけとなった若い白拍子 仏御前とともに、4人で念仏三昧の余生を送ったとされるのがこの「祇王寺」なのです。

その平家物語の「巻第一 祇王のあらすじ」(祇王寺 公式サイトより引用)を下に紹介します。これを読んでおくと、祇王寺を訪れるのがもっと奥深いものになるはずです。

平家物語 - 巻第一 祇王のあらすじ
 時は平家全盛期、天下は平清盛の掌中にあった。その頃、都で評判の白拍子(水干を着て男舞をする舞女)の名手に、祇王・祇女という姉妹があった。
 姉の祇王は清盛に寵愛されたので、妹の祇女も世にもてはやされ、母の刀自も立派な家屋に住まわせてもらえるようになり一家は富み栄えた。
 京都中の白拍子らは祇王の幸運を羨み、祇王にあやかって自分の名前に「祇」の字をつける者まで出た。
 三年が経つ頃、また京都に評判の高い白拍子が一人現れた。加賀国の者で年は16歳、名を仏という。
 そんな彼女が「自分の舞を見てほしい」と清盛のもとを訪れた。
 しかし清盛は、「遊女は招かれて参るもの、自ら推参するとは何事だ。そのうえ祇王がいるところへ来るとは許されぬこと。さっさと退出せよ」と追い出そうとした。
 すると祇王が「そんなにそっけなくお帰しになるのはかわいそうです。同じ白拍子として、他人事とも思えません。ご対面だけでもなさったらいかがですか」ととりなしたので、「そんなにお前が言うのなら」と清盛は仏御前を呼び戻した。
 仏御前の今様も舞もとても見事で、見聞きしていた人はみなびっくりした。
 清盛もすぐに仏御前に心を移してしまい、仏御前をそばに置こうとした。
 仏御前は驚いて「追い出されそうになったのを祇王御前のおとりなしにより呼び戻していただいたのに、私を召し置かれるなどとなったら祇王御前に対して気恥ずかしくございます。さっさとお暇をくださいませ」と清盛に申し上げたところ、清盛は、「祇王がいるので遠慮するのであれば、祇王を追い出そう。祇王、さっさと退出せよ」と命じて祇王を追い出してしまった。
 祇王はもとから、いつかは追い出される身であろうことは覚悟していたが、それでもこんなに早く追い出されるとは思ってもみず、せめてもの形見にと、襖に泣く泣く一首の歌を書きつけた。
「萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草いづれか秋にあはではつべき」
訳:春に草木が芽をふくように、仏御前が清盛に愛され栄えようとするのも、私が捨てられるのも、しょせんは同じ野辺の草―白拍子―なのだ。どれも秋になって果てるように、誰が清盛にあきられないで終わることがあろうか
 我が家に戻った祇王は、倒れ伏してただ泣いてばかりいた。そのうちに毎月贈られていたお米やお金も止められた。
 翌年の春、清盛が祇王のところへ使いを出し、「仏御前が寂しそうにしているから、一度こちらへ参り今様をうたい舞も舞って慰めてくれ」と命じた。母の刀自に説得され、祇王は泣く泣く西八条へと赴いた。
 祇王はずっと下手の所に座席を設けて置かれ、悔し涙を袖でおさえた。
 仏御前はそれを見てあまりにも気の毒に思ったが、清盛に強く止められて何もできなかった。祇王は清盛の言う通りに今様をひとつうたった。
「仏も昔は凡夫なり 我等も終には仏なり
いづれも仏性具せる身を へだつるのみこそかなしけれ」
訳:仏も昔は凡人であった。我等もしまいには悟りをひらいて仏になれるのだ。そのように誰もが仏になれる性質をもっている身なのに、このように仏—仏御前—と自分を分け隔てするのが、誠に悲しいことだ
 祇王は邸をあとにし、自らの命を絶とうとした。すると妹の祇女も一緒にという。
 しかし母の刀自に泣く泣く教え諭され、都を出て尼になる決心をした。三人は嵯峨の奥の山里にそまつな庵(後の祇王寺)を造って念仏を唱えて過ごし、一途に後世の幸福を願った。
 春が過ぎ夏が過ぎ、秋の風が吹き始めるころ、ある夜竹の網戸をとんとんとたたく者がある。こんな夜更けにこんな山里にいったい誰であろうと恐れながらも出てみると、そこには仏御前がいた。
 驚く祇王に向かって仏御前は言った。「もとは追い出されるところを祇王御前のおとりなしによって呼び戻されたのに、私だけが残されてしまい本当につらいことでした。祇王御前のふすまの筆の跡を見て、なるほどその通り、いつかは我が身だと思い、祇王御前が今姿を変えてこちらにいらっしゃると聞き、ぜひ私もとこちらに参りました」
 衣を払いのけた仏御前はすでに尼になっていた。「私の罪を許してください。もし許されるなら、一緒に念仏を唱えて極楽浄土の同じ蓮の上に生まれましょう」と、仏御前がさめざめと涙を流したので、祇王は涙をこらえ、「あなたがこれほど思っておられたとは夢にも知りませんでした。さあ一緒に往生を願いましょう」と迎え入れた。
 それから四人は同じ所に籠って朝夕一心に往生を願い、本望をとげたということであった。
 そして、後白河法皇の建てられた長講堂の過去帳にも、「祇王・祇女・仏・とじらの尊霊」と、4人同じ所に書き入れられた。
参考文献 :「日本古典文学全集29 平家物語 一」(小学館 1973年初版発行 1995年第25版発行)

最初の祇王が詠んだ歌「萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草いづれか秋にあはではつべき」は、今まさに外で枯れて落ちてゆく紅葉の情景と重なるような内容で、この祇王寺の庭園が、その悲しい物語をドラマチックに物語っているような、そんな気分にもさせてくれます。


平家物語に心を馳せる京都・嵐山のお寺「祇王寺」

苔と紅葉が美しい「京都 祇王寺」に行く方法[もみじ苔寺]

今回は平家物語にゆかりが深く苔ともみじが美しい京都・嵐山のお寺「祇王寺(ぎおうじ)」をご紹介しました。

嵐山のかなり奥の方にあるお寺なので、ふらっと訪れるような場所では無く、知る人ぞ知る京都の隠れた穴場スポットとなっています。

近年はSNSなどでも紹介されて世界中から観光客の方が訪れていますが、まだまだ静けさを保った素敵なお寺です。

平家物語など何の知識も入れずに「祇王寺(ぎおうじ)」のお寺のもみじや苔を見てももちろん美しいのですが、祇王や仏御前という白拍子達の物語、平家物語を知ることで、さらに「祇王寺(ぎおうじ)」のもみじや苔の美しさを何倍にも強く印象的に鑑賞できるのではないかと思います。

「祇王寺(ぎおうじ)」を訪れる際は、ぜひ平家物語の一節を胸に、その昔の時代に心馳せるように、この素晴らしい紅葉の風景を眺めてみてほしいと思います。それでは、平家物語ゆかりの「祇王寺」で思い出に残る京都観光を!