シンガポール植物園 - Singapore Botanic Garden
シンガポールで唯一の世界遺産「シンガポール植物園 - Singapore Botanic Garden」があるのをご存知だろうか。このシンガポール植物園は、もともと、シンガポールの創設者「トマス・スタンフォード・ラッフルズ」が植物の経済研究目的で1822年に設立した植物園で、一旦は閉鎖されるものの、その後、1859年に農業園芸協会によって現在の「Singapore Botanic Garden」が作られ、それ以降は太平洋戦争での日本占領下においても「昭南植物園」という名前で継続され、戦後を経て、マレーシアからの独立などシンガポールの激動の歴史の中でも存続し続けて今に至る、歴史深い植物園である。
今回は、そのシンガポール世界遺産「シンガポール植物園」を実際に訪れ、その植物園の中の様子を実体験レポートしていきたいと思う。
シンガポール植物園
住所 1 Cluny Rd, Singapore 259569
営業時間 5:00 - 24:00
入場料 無料(ナショナル・オーキッド・ガーデンを除く)
MRT駅 Botanic Garden / circle line - downtown line
有名なガーデン・バイ・ザ・ベイではない
シンガポールの植物園というと、マリーナベイエリアにある、あの有名な「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」を思い浮かべる人も多いはず。毎晩、無料で見ることができる光と音楽のショーが行われ、クリスマスシーズンには大掛かりなライトアップまで施され、そのガーデン・バイ・ザ・ベイの後ろには、シンガポールの象徴的ランドマーク「マリーナベイサンズ」までそびえている。そんなド派手な演出と環境が整っているテーマパークのような庭園「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」。
「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」はとんでもなく有名なので、「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」が世界遺産なのかと勘違いしそうになるけれど、世界遺産はこの「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」ではなく「シンガポール植物園」という名前の植物園の方なのだ。
巨大庭園の「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」の存在に比べると、これから向かう「シンガポール植物園」は少し影が薄くも感じてしまうかもしれないが、実は庭園の総面積は、シンガポール植物園(ボタニックガーデン)とガーデン・バイ・ザ・ベイはほぼ同じ820m2 (東京ドーム約13個分)。どちらもバカでかい。
シンガポール植物園の場所
世界遺産「シンガポール植物園」の場所は、シンガポールの繁華街「オーチャード通り」から車で15分ほど内陸部へと入った場所にある。地下鉄(MRT)ではダウンタウンライン(ブルーのライン)、もしくはサークルライン(イエローのライン)の「Botanic Gardens / MRT Station」が最寄り駅となり、駅からは歩いてアクセスも可能となっている。
シンガポール植物園 - エントランス
では、シンガポール植物園の中へと進んでいこう。そのエントランスの風景がこちら。訪れている人は、観光客ももちろん多いが、シンガポールの地元の人が犬を連れて散歩をしていたり、家族でやってきている姿も多く見かける。
ボタニックガーデンのビジターセンター
入口付近にはシンガポール植物園 / ボタニックガーデンのビジターセンターもあり、分からないことがあればここで聞いてみることもできる他、カウンター横には、日本語を含む各国の言語での案内パンフレットも置かれているので、植物園に入っていく前に1冊もらっておくのをおすすめしたい。
ヤシの木の庭園
シンガポール植物園入り口を入ってすぐの場所にあるのは、ヤシの木を整然と並べて植えた庭園。この椰子の木の風景のシルエットは、ガーデン・バイ・ザ・ベイの巨大な柱を小さくしたようにも見えるが、私が思うに、ガーデン・バイ・ザ・ベイのあの巨大柱はこのボタニックガーデンをモチーフに作られたのだろう。
イタリア料理店「Casa Verde」
そのヤシの木の庭園の隣にはカジュアルなイタリア料理店「Casa Verde」というお店も。ここでは、シンガポールのレストランとしてはお手頃な一皿15SGD(約1,200円)〜20SGD(約1,600円)で食事が楽しめる。
このようにシンガポール植物園内には、様々なカフェやレストランが設置されており、植物園を楽しみながら疲れたらこうしてどこかで休憩して食事をいただいたりする設備も整っている。
シンガポール人の憩いの場
シンガポール植物園の中では、こうして子供が遊んでいたり、家族がピクニックに来ていたりと、庭園全体が、シンガポール人の憩いの場のような雰囲気にもなっている。緑で溢れたこのボタニックガーデンは、そんなに混み合ってもいないので、歩いているだけでも、なんだか心が癒やされるような、そんな空気感が漂っている。
各場所にあるテーマ別庭園
シンガポール植物園内には、藻類、シダなどといった古代からの植物が観察できる「エボリューション・ガーデン」や、1000種類以上の生姜が集められた「ジンジャー・ガーデン」(写真はそのジンジャーガーデンのもの)、植物標本などが置かれた「ボタニー・センター」、子どもたちの遊具なども設置されている「ジェイコブ・バラス・チルドレンズ・ガーデン」、そして園内一番の見どころである約1,000種におよぶ原生種、約2,000ほどの交配種、合わせて約6万本の洋蘭が集められた「ナショナル・オーキッド・ガーデン」(入場は有料 / 詳細は後ほど)など、テーマに沿って様々な庭園が設置されていて、見ごたえも十分。全部見て回ろうとすると1日がかりになりそうな広大な植物園だ。
シンフォニー湖のステージ
このシンガポール植物園には「Eco-Lake / エコ湖」「Symphony Lake / シンフォニー湖」「Swan Lake / スワン湖」という3つの湖が存在している。その湖の一つ「Symphony Lake / シンフォニー湖」の真ん中にには演奏ステージも置かれており、定期的に音楽イベントなども催されているようだ。私達が訪れたこの日は、ちょうど演奏のリハーサルをやっている最中のようだった。
コンビニのような売店もある
さて、このシンガポール植物園には、所々にこうして飲み物や軽食などを購入できる売店設備も置かれている。シンガポールはとにかく暑いので、水などを持っていない場合は、ここで購入しておくといいだろう。お水の値段はウル覚えだが確か3SGドル(約240円)ぐらいだった気がする。
フォトジェニックな滝
シンガポール植物園を歩いていると、時折こうしたフォトジェニックな滝など、様々な人工オブジェも置かれ、訪れた観光客は思い思いに写真を撮ったりしている。こうしたオブジェの配置などを見ると、この植物園は、遊園地のような設計になっている気がする。
ナショナル・オーキッド・ガーデン
そうしてぶらぶら歩きながら、私達はこのシンガポール植物園のハイライトである「National Orchid Garden - ナショナル・オーキッド・ガーデン / 国立洋ラン園」にやってきた。入り口からカラフルな蘭の花が出迎えてくれる。
ナショナル・オーキッド・ガーデンの入園料 / 営業時間
このナショナル・オーキッド・ガーデンは、シンガポール植物園の他の場所と違い、大人5SGD(約400円)、学生(要学生証)と60歳以上は1SGD(約80円) (※12歳以下の子供は無料)の入園料が必要となる。
入り口のチケットカウンターでチケットを購入して中へと入るのだが、支払いは現金のほか、クレジットカードでもOK。確かアップルペイでも支払いできたんじゃなかったかなぁ?
また、ナショナル・オーキッド・ガーデンの営業時間は「8:30-19:00」。シンガポール植物園の営業時間(5:00-24:00)よりも短い営業時間となっているので、訪れる際は時間に注意して訪れよう。
ナショナル・オーキッド・ガーデンの地図
では、いよいよナショナル・オーキッド・ガーデンの中へと入っていこう。入り口入ってすぐの場所には、ナショナルオーキッドガーデンの地図が用意されている。このオーキッドガーデンだけでかなり大きそうだなぁ。マップには一番奥のほうに「VIPオーキッド・ガーデン」という場所があるので、そこまでとりあえず行ってみることにしよう。
よく整備された美しい庭園
オーキッドガーデンの園内の様子。シンガポール植物園の一番の見所ということで、ナショナル・オーキッド・ガーデンの庭園の中はよく整備された美しい風景が広がっている。庭園といっても日本のように松が生えているわけではなく、こうしてヤシの木に色とりどりのランの花、といった南国ならではのトロピカルな庭園の風景だ。
見たこともないランの花が一杯
このナショナルオーキッドガーデンは、上で軽く紹介したように、約1,000種におよぶ原生種、約2,000ほどの交配種、合わせて約6万本の洋蘭が集められた庭園。その中には、見たこともない形をした花を付けたものや、真っ黒な花のランなど、とにかく個性的で珍しい蘭の花がたくさん植えられていて、とても興味深い。どんな蘭の花が咲いているのかは、その時によって色々変わってくるけれど、とにかく驚くほど多種多様。シンガポールは常夏なので、いつ来ても楽しめるのが嬉しい。
VIPオーキッド・ガーデン
そうして私達は、ナショナル・オーキッド・ガーデンの目的地である「VIPオーキッド・ガーデン」へとたどり着く。そこには様々な新種の蘭の花が展示された建物が建ち、その建物の向こうには様々な蘭の花が植えられた庭園が広がっている。
世界中のVIPの名が冠されたランの花
このVIPオーキッドラウンジに置かれている蘭の花は、様々なランを掛け合わせて作られた交配種の個体なのだが、その新種のランに付けられる名前は、このオーキッドガーデンを訪れた世界のVIPや著名人の名前を冠して、歓迎の意を込めて名付けられる。
例えばこの写真の蘭の花は、2017年11月1日に訪れた、イギリスのコーンウォール公爵夫人(カミラ夫人)の名前を関した花。また、この他にもダイアナ妃や、現在の日本の皇后雅子様の名前を冠したランの花も置かれている。
オーキッドガーデンの一部は改修工事中
さて、そろそろVIPオーキッドガーデンを離れて再びナショナル・オーキッド・ガーデンを散策しよう。このオーキッドガーデンの一部は、改修工事が行われている箇所もあり、こんな感じで改修工事が見えないように、実際に植えられているランの花と同じプリント柄が施されたパーティションで隠されていたりもする。改修工事が終わったらもっと広いオーキッドガーデンが散策できるようになるのだろう。
Golden Shower Arches - ゴールデンシャワーアーチ
こちらは葉っぱと黄色いランの花で作られた「Golden Shower Arches - ゴールデンシャワーアーチ」。可憐な黄色い蘭の花が本当に美しい、フォトジェニックなスポットだ。
ラン以外の植物もたくさん見ることができる
この他、ナショナル・オーキッド・ガーデンでは、蘭の花だけでなく、シダや苔、食虫植物などの珍しい植物も展示されており、ほんと、このエリアだけでもじっくり見るとかなりの時間が必要な濃い内容の庭園となっている。この続きは、実際にシンガポール植物園に行ってぜひ自分の目で確かめてみてほしい。
なんと!1m近いオオトカゲが!
ブラブラ歩いていると・・・突然、1m近くはありそうなめちゃくちゃでかいオオトカゲが横の茂みから出てきて、こんな感じで道を横切ったりする。
この時、ミヅキは私の後ろから写真を撮っていたのですぐに気付いたらしく、「うわぁ!何かでたー!」と言いながらトカゲの方に走っていって写真をバシバシ撮っていたけど、私はボーっと気を抜いて歩いていた時にいきなり目の前に出てきたのでめっちゃビビった(笑)。さすが南国のシンガポール。こんなに大きなオオトカゲが普通に野生で潜んでいるとは。
シンガポールの魅力が詰まった「シンガポール植物園」
シンガポール唯一の世界遺産「シンガポール植物園 / Singapore Botanic Garden」はいかがだっただろうか。シンガポールというと、超ド派手なランドマーク「マリーナ ベイ サンズ」や「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」、巨大ショッピングモール「ジュエル」、誰もが知ってる「マーライオン」、テーマパークが目白押しの「セントーサ島」・・・と、スケールがでかい人工の観光スポットばかりが目立っているので「何でもかんでもキラキラしたイメージがある国」だと思われがちなのだが、この【シンガポール唯一の世界遺産であるシンガポール植物園】は、そういったキラキラしたランドマークたちとは一線を画している。
歴史の積み重ねとともに様々な植物や花々が本当に色彩豊かに整然と美しく咲き誇り、訪れたゲストにシンガポール本来の魅力を伝えてくれているような、そんな印象深い場所だった。
もちろん人によって感じ方は異なるとは思うが、もし私が誰かに「シンガポールで一番おすすめの観光スポットは?」と聞かれたら、間違いなくこのシンガポール植物園を推したいと思う。シンガポールに旅行に行った際は、たっぷりと時間を作って、この広大なシンガポール植物園を楽しんでみてほしい。それでは、シンガポール植物園で、忘れられないシンガポール旅行の思い出を!
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