京都・二ノ瀬にある日本庭園「白龍園」
京都、鞍馬山の麓の二ノ瀬にある日本庭園「白龍園」に桜を見に行ってきたので、現地の様子などを実体験レポート!この白龍園は、京都にあるアパレルの会社「青野株式会社」の創業者である故青野正一氏が、1962年より、50年以上の歳月をかけて築き上げた庭園で、普段は非公開の場所ではあるが、春〜初夏、そして秋にのみ一般に公開しているという、超穴場の京都・観光スポットである。
そんな非常にレアな日本庭園に、私達は桜の季節に足を踏み入れることが出来たので、その時の白龍園の様子などを、できるだけ詳しく紹介したいと思う。
なお、白龍園は一般公開を始めたのは2014年ごろからで、例年は一日限定100名のみしか入場出来ない場所となっているが、今年(2019年)の春は試験的に人数制限を取りやめ、希望者全員が入場することができるようになっている。また、チケットも今までは京阪電鉄・出町柳駅でのみの取扱いで、現地では購入できないのだが、2019年春に限っては現場(白龍園入り口)でのチケット購入も可能となっている。
白龍園の歴史
この白龍園の歴史は、今から約50年以上も前に遡る。もともと、この白龍園が生まれた土地は、安養寺山ともつつじ山とも言われた場所で、不老長寿の白髪白髭の翁と白蛇を御祭神として尊崇される山地であったが、時代と共にいつしか熊笹と竹やぶに覆われた荒れ地に変わり果ててしまっていた。
そんな荒れた山地を、故青野正一氏(青野株式会社の創業者)が縁あって1962年に手に入れることになり、この地に根付いていた神々の信仰と伝説に見入った青野氏は、この土地の祭壇の復元、整地と開発を決心し、生涯をかけて山を蘇らせ、現在の白龍園の原型を完成させることになる。
その復興に携わったのは、専門家ではなく、彼の意思に賛同した、家族、そして社員家族と地元の手伝い衆たちで、その心は今もなお引き継がれ、現在もこの白龍園は人々の手によって守られて進化し続けている。
この「白龍園」の名前の由来は、山の御祭神である「白髭大神(白髪白髭の翁)」と「八大龍王(白蛇)」から1文字ずついただいたもので、白龍園にはその御祭神を祀る大鳥居も置かれている。なお、この白龍園はもともと一般公開することを目的とした庭園では無かったため、長く未公開の日本庭園の存在であったが、京阪電車の青野株式会社への熱い働きかけにより、2014年ごろから、春〜初夏(6月上旬)、秋のみ一般公開が実現することになった。
白龍園へのアクセス方法 / 行き方
白龍園へのアクセス方法 / 行き方は、京都の学生の街でもある京阪・出町柳駅から叡山電車を使って「二ノ瀬」駅を訪れるのがオススメだ。一応、白龍園のある二ノ瀬へは市バスも運行しているのだが、例年であれば、入場チケットの販売はこの出町柳駅でしか購入できない(2019年春は白龍園の現地でも購入可能)ため、出町柳駅を起点にアクセスするのが便利となる。
出町柳駅には大型駐車場もある
出町柳駅の付近には、鴨川を挟んでタイムスが運営する大型の地下駐車場がある。(場所は下の地図を参照)
この駐車場は1日最大1,200円(営業は深夜1時まで)で車を置いておけるので、車移動ができる人は、この駐車場に車を停めて、叡山電車を利用するといいだろう。
白龍園のチケット購入
白龍園のチケット購入は、出町柳駅の有人改札口。チケットの種類は、叡山電車(京阪)一日乗り放題の乗車券付きが2,000円、入園券のみは1,300円となるが、出町柳駅⇔二ノ瀬駅の往復には運賃が大人760円掛かるので、一日乗り放題の乗車券付き(2,000円)を使ったほうが結果的に安くなる。また一日乗車券があれば、白龍園観光の後に、叡山電車で人気の観光スポットでもある天狗で有名な「鞍馬」や「貴船神社」にも立ち寄ることができるので、一日乗り放題の乗車券付きを購入するのがおすすめだ。支払いは現金のみ。
一日乗り放題の乗車券付き白龍園入場券がお得
こちらが私達が購入した「一日乗り放題の乗車券付き白龍園入場券」。チケットには二ノ瀬駅から白龍園へ歩いて向かうルートの案内も差し込まれている。チケットには利用日のスタンプが押され、その日のみ有効で別の日には使えないので注意。また白龍園は、入場の最終受付は13:30とかなり早いので、できれば午前中から訪れるほうが観光には適している。
京阪・叡山電車で二ノ瀬駅へ
では、入場券も手に入ったことなので、京阪・叡山電車に乗って二ノ瀬にある「白龍園」へ向かいたいと思う。出町柳から二ノ瀬駅までは、電車でだいたい30分ほど。叡山電車は鞍馬行き(鞍馬本線)と、八瀬比叡山口駅行き(叡山本線)の2ルートがあるが、二ノ瀬駅にアクセス出来るのは「鞍馬行き / 鞍馬本線」なので、乗り間違えないように注意しよう。
電車内は観光客で賑わっている
この叡山電車の電車内は、観光客の姿で賑わっており、その半数ぐらいは外国人だ。しかし、観光客の目的地は、白龍園のある「二ノ瀬」ではなく、縁結びの神様としても有名な貴船神社のある「貴船口」が多数を占めるようだ。
二ノ瀬駅に到着!
電車に揺られること30分ほどで、この「二ノ瀬」駅に到着!駅は無人駅になっており、周囲はひっそりとした雰囲気が漂っている。私達も長年京都に住んでいるが、この二ノ瀬という場所のことは全然知らず、今回がはじめての訪問となる。ここから白龍園までは歩いて7分ほど。では行ってみよう!
二ノ瀬を流れる「鞍馬川」
歩いているとすぐに、二ノ瀬の村を流れる一本の川にたどり着く。この川は「鞍馬川」で、貴船山から流れてくる貴船川と、鞍馬山から流れる「鞍馬川」が、ここより上流の貴船口付近で合流し、一本の鞍馬川となってこの二ノ瀬に流れ着く。そして、この鞍馬川もやがて、あの京都で一番有名な鴨川と合流することになる。それにしても、この鞍馬川の水はとても透き通っていてキレイだ。
駅から白龍園に歩いて行く間の道のりには【白龍園→】と言った具合に標識を出してくれているので迷うことはない。道中には昔懐かしい風景がそこかしこに広がっている。
白龍園に到着
やってきました!こちらが白龍園の入り口。エントランスには「特別公開」の文字。そしてその向こうには、美しい桜の木が、もうすぐ満開を迎えようとしている。
パンフレットを頂く
白龍園の入り口にはテントが建てられていて、そこで出町柳で購入した白龍園の入園券を渡すと入場手続きは完了。白龍園のパンフレット一式をいただき、白龍園に関する簡単な説明を受ける。
この白龍園では、飲食、タバコは禁止。白龍園内の植物に手を触れるのも禁止。園内は写真撮影はOKだが、動画撮影は禁止で、三脚などを利用した撮影も禁止。また地面に生えている苔を踏みつけるもダメなのと、白龍園の鳥居の奥にある神様が祀られている社(やしろ)も撮影禁止なので注意しよう。
白龍園の桜はもうすぐ満開
私達が今回訪れたのは2019年4月4日。今年の3月の終わりから4月頭にかけては少し肌寒く、白龍園のある二ノ瀬では、なんと昨日(3日)の早朝には雪が積もっていたとのこと。確かにここ最近は寒暖の差が激しく、昨日と今日では体感温度がぜんぜん違う。
今日(4日)は陽気な気候になったことで暖かくなり、この白龍園の桜も少しずつ花開き、私達が滞在している間にも、どんどんと蕾が開花していっていている。今週末(4月6日、7日)あたりには満開になりそうな気配だ。
緋毛せんの縁台と野点傘
白龍園のメインエントランスのすぐ奥には、日本庭園らしい緋毛せんの縁台と野点傘も設けられており、座ってこの優雅な景色を眺めて楽しむことができる。この春の季節は「桜」がメインと思われがちではあるが、この白龍園の春は桜だけでなく、その後に「つつじ」も見頃を迎えるので、桜の季節から少し遅れて訪れても、鮮やかなピンク色が見事な「つつじ」を楽しむ楽しむことができる。
歩いて白龍園の中を散策
エントランスの桜を愛でたあとは、歩いて白龍園の景色にどっぷりと浸かって行きたいと思う。上へと向かう石の階段にはびっしりと見事な苔。苔を踏まないように注意しながら上がっていこう。
白龍園のいたるところには石の灯籠が建てられているのだが、その灯籠にも見事な苔が生えている。この自然と調和する世界観こそ日本庭園の真髄。日本の心が表れている素晴らしい庭園だ。
白龍園の立て札
また白龍園には要所要所にはこういった立て札も置かれており、白龍園の説明などが記されている。この古くなった立て札の雰囲気も侘び寂びがあって非常に良い。
地面を埋め尽くす「苔」
さて、この白龍園には、「桜」や「つつじ」、「紅葉(もみじ)」といった植物の他に、年中見頃の素晴らしい植物が自然に生えている。それは、この地面を埋め尽くす、力強い「苔」だ。
苔の魅力を存分に楽しめる
この「苔」の存在は、白龍園の日本庭園を形作る上で、無くてはならないもの。苔を間近で見てみると・・・この通り、繊細でありながら力強い自然の表情を、訪れる人に見せてくれるのだ。苔の種類もいろいろとあり、場所によってその表情が変わるのも奥深い。
雨上がりを狙って訪れる人も
この「苔」という植物は、雨上がりの表情が一番生き生きとしていることから、わざわざ雨の降る日に「苔」を愛でに訪れるゲストも多いのだとか。確かに、見れば見るほど、その世界観に引き込まれるような、、そんな魅力がこの白龍園の苔にはある。まさかこんなに「苔」というものが素晴らしいと感じるとは。。
5つの東屋
この白龍園には、休憩できる縁台の他、5つの東屋も設けられている。東屋にはそれぞれ「清風亭」「龍吟亭」「福寿亭」「鶯亭」「彩雲亭」という名前が付けられており、中に座るとその窓から、美しい日本庭園の風景を切り取って楽しめるようにもなっている。
わらぶき屋根の上にも苔が生えており、何とも言えない趣を感じさせる。
滞在中も桜がどんどん開いている
さて、私達がこの素晴らしい日本庭園「白龍園」を見て回っている間にも、どんどん桜の花が開いていき、、、ふと見上げると、来たときよりも鮮やかな庭園の風景になっていることに気がつく。
つつじの花
桜と並んで、白龍園の春の主役のひとつである「つつじの花」も咲き始めている。この「つつじ」の花の見頃は、3月終わり〜4月下旬頃までと、桜よりも長くなっている。桜よりも濃い鮮やかなピンク色が特徴で、この白龍園の中にはたくさんの「つつじ」の木が植えられている。
鳥居
白龍園を奥に歩いていくと、いよいよ庭園の中心部、社のある神聖なエリアにたどり着く。入り口には朱色の鳥居と立派な灯籠が置かれている。
この先に、写真撮影はしてはいけない【社】があるのだが、確かにそこには神様が居られるようなそんな荘厳な空気が流れている。ぜひ、足を運んで自分の目で拝んでほしいと思う。
社周辺の庭の様子
社周辺の庭園の様子がこちら。先程までの花々が彩るエリアとは打って変わって、苔と高い木が自然に生えた、どこか厳かな雰囲気が漂っている。
社横の水場の風景
山から染み出した水が流れ落ちるような水場も設けられており、そこには花も添えられている。この庭園を毎日丁寧に管理している庭師さんが添えている花だ。
歩きやすい靴推奨
この白龍園を訪れる際は、階段などは岩でゴツゴツとしていたりするので歩きやすいスニーカーなどを履いてくるのがおすすめだ。また、苔などを傷つける恐れがあるため、ハイヒールは×。
もみじはまだ葉を付けていない
白龍園は、「もみじ」の紅葉の季節が一番人気なのだが、この春の時期には、その「もみじ」はまだ葉を付けておらず、小さな新芽のみで枝はまだむき出しのように見えるが、これが5月ごろになると新芽が伸び緑の葉を付け、この白龍園も青もみじの見頃を迎える。
白龍園を上から眺める
少し高い場所から白龍園の見事な日本庭園を眺める。薄くはかない桜の色に、「つつじ」の濃いピンクが入り混じり、絶妙な庭園の風景を見せている。人の手によって50年以上の歳月をかけて蘇ったこの見事な日本庭園「白龍園」の風景。言葉では言い難い、得も言えぬすばらしい光景が広がっている。
人の手による徹底した管理
この白龍園は、機械などは使わず、人の手作業によってこの美しい様子が保たれている。私達が訪れた際に、そのスタッフの人とすこしだけ話すことが出来たのだが、苔の間に生えてくる雑草などは一本一本手作業で抜いていって管理しているのだそうだ。
一般公開は春と秋だけであるが、その管理作業はもちろん一年中行われており、その気の遠くなるような作業を経てこの美しい日本庭園が保たれている、というわけだ。
白龍園内にはトイレも完備
さて、この白龍園の敷地内には水洗式のトイレも完備されているので、トイレの心配はしなくてOK。暖房便座付きの水洗トイレが備わっているので安心しよう。
写真で見る白龍園の四季
私達が白龍園を一通り見終え、入り口の縁台でくつろいでいると、スタッフの人がこの白龍園で撮った写真を持ってきてくれた。今現在は桜の咲く春の白龍園の景色であるが、他の季節はどんな表情を見せているのか、写真で見ていこう。
初夏
こちらは東屋の中から撮った白龍園の「夏」の風景。青もみじの深い緑が眩しい、とても力強い景色だ。この東屋の窓で切り取る白龍園の風景も、まるで額に入った絵画のよう。趣があって非常に魅力的だ。
秋
白龍園でたくさんの人が訪れる一番人気の「秋」の風景。この白龍園には「夫婦紅葉」と呼ばれる見事な「もみじ」があるのだが、それが紅葉を迎えたときの写真なのだろう。この深い赤、、というか紅(くれない)の色は見事。まるで燃えているような赤。
スタッフの人曰く、この二ノ瀬の周辺は街明かりなども無く、夜は真っ暗になるので、木々たちも夜はぐっすりと眠れるので、紅葉の色もこんなに見事になるのだとか。いやぁ・・・これは紅葉の時期に改めて見に来なくては。
冬
そして一般公開されていない「冬」の季節の白龍園の景色。これは・・・素晴らしい・・・。美しすぎる白銀の世界が、写真の向こうには広がっている。人が居ないからこそ作り出される絶景。石畳の間に隙間なくびっしりと生えている苔に積もる雪は見事だ。この絶景は一度見てみたいが・・・冬の一般公開は無いので、諦めよう。
甘味処 河鹿荘
さて、白龍園を見たあと、甘いものを食べて一息つきたいときは、白龍園の向かいにある甘味処「河鹿荘」がある。ここは、白龍園と同じく、青野株式会社が運営する古民家の装いの店舗となっている。軒先には桜の花や、緋毛せんの縁台と野点傘も。なお、車が奥に停まっているがこれは従業員の車で、一般用の駐車場は用意されていない。
メニューは軒先でも確認できる
店舗で頂けるメニューは軒先にも置いてあるのでお店に入る前に確認もできる。メニュー内容は種類は少ないが、お抹茶とお菓子(600円)、緑茶とお菓子(300円)、ほうじ茶とお菓子(400円)、おぜんざい(800円)、そして何気にエビスビールとおつまみ(800円)も用意されている。
今回私達は出町柳まで車で来ているので飲めないが・・・ビール飲みたかったなぁ(笑)。まっ、おぜんざいをいただくことにしよう。
河鹿荘の中の様子
河鹿荘の中に入る。内側もこの通り、日本ならではの古民家の作りになっている。青野株式会社さんは子供服をメインに制作しているアパレルメーカーさんなので、端っこの方にはTシャツなども売られている。値段は1枚1,900円ぐらいだったかな?お土産にもどうぞ。
この土間になっている玄関の入口なんだが、実は私の実家も昔は土間式の古民家だったので、こういう風景は非常に懐かしくて心休まる。この段が付いているのは、バリアフリーが定番の現代建築にはそぐわないかもしれないが、この玄関入ってすぐに腰を下ろせるというのは、何気に使い勝手が良い仕組みだと私は思う。
出土した土器
この河鹿荘では、この土間の奥には白龍園の建設時に出土した歴史的に貴重な土器も展示されている。この出土した土器を、京都大学の考古学研究室に鑑定を依頼したところ、なんと!この土器は今から約1,000年前の平安時代中期に岩倉地方で作られた「須恵器」であることが分かった。
私も昔、京都の発掘の仕事をしている人から「京都は土地を掘ると色んな歴史的に貴重な物がそこらじゅうから出てくる」と聞いたことがあるが、こんな山奥でもこういった貴重な歴史物が出てくるとは、、、さすが、日本の古都、京都だなぁ。
囲炉裏で寛ぐ
そうしてしばらく店舗中央の囲炉裏に座って今日の白龍園のことをミヅキと喋っていたら、私達が注文したおぜんざいがやってきた♪
おぜんざい
白龍園・河鹿荘のおぜんざい(800円)がこちら。焼いたお餅が2個入ったおぜんざいに、ほうじ茶、そして木の芽煮(きのめだき / 山椒の葉と実に昆布を加え、長時間醤油で煮て作る鞍馬の郷土料理 / 河鹿荘でも500円+税で購入可能)がセットになっている。素朴な味わいがとても良い。
海外からの女性客の姿も
この白龍園・河鹿荘で私達がおぜんざいをいただいていた時の店内の様子がこちら。左の二人組の女性客は中国系の観光客。この春の白龍園はそこまで人は多くないのだが、私達が園内を観覧している時も、何組かの観光客とすれ違ったが、半分以上は海外からの観光客だった。
もしかしたら、この白龍園って、外国の人の京都観光の有名スポットのひとつなのかもしれないなぁ。日本人よりも外国の人のほうが、この白龍園のことをよく知ってたりして(笑)。
白龍園の桜の開花状況をチェック
さて、この白龍園の桜の開花状況についてであるが、実は京都の桜というのは、季節の移り変わりによって開花時期が市内でも毎年バラバラで予想が立てにくい。今年(2019年)は、白龍園は今記事を書いている(2019年4月5日〜)ぐらいが満開時期となると予想されるが、ダイレクトな情報を知って満開時期に白龍園を訪れたい場合は、下の白龍園のフェイスブックをチェックするのをおすすめしたい。
最新の記事
人気の記事