台湾最大のランタンフェスティバル「平溪天燈節」
台湾の新北市平溪区で毎年旧正月の15日に開催される伝統的なランタンフェスティバル「平溪天燈節」。この祭りの起源は200年以上前にさかのぼり、もともとは神への祈りを込めてランタンを飛ばす習慣として始まったものが、時の流れとともに地域の文化として重要な位置を占めるようになり、今では世界中から観光客が訪れる台湾最大の観光イベントとして成長しました。
台湾旅行のイメージ写真としても、この平渓天燈節で無数のランタンが夜空を彩る幻想的な風景がよく使われていますが、写真で見るあの感動的な天燈上げの風景を本当に自分の目で見ることができるのか、実際に平渓天燈節に行って確かめてきたので詳しくレポートしたいと思います。
JTB主催の三重県・新北市観光交流「平溪天燈節」ツアー
今回私達が平溪天燈節に参加するのに利用したのは、JTB三重が主催する三重県・新北市観光交流「平溪天燈節」ツアー。
「平溪天燈節」のランタン上げは個人でも参加することはできるのですが、ランタンを上げるためには朝早くに会場の十分老街に行って天燈上げ用の整理券(先着順)を入手する必要があったり、また当日は一般車は会場となる平渓(ピンシー)エリアには入れなくなるなど交通制限もあったりと観光客には難易度が高くなっています。
ここは大人しく現地ツアーを利用したほうが賢い、ということで「平溪天燈節」で自分でランタンを飛ばせるツアーを探していたところ、たまたまJTB三重が主催している三重県・新北市観光交流「平溪天燈節」ツアーをネットで発見し、参加することにしました。
このJTB三重が主催している三重県・新北市観光交流「平溪天燈節」ツアーは、平渓と観光協定を結んでいる三重県が、10年以上続けているもので、本来は三重県の人のためのツアーなのですが、まず毎年11月に三重県人優先で募集が開始され、その後、余った枠だけを日本全国の旅行者に開放しているという、少し特殊なツアーになっています。
そしてこの三重県・新北市観光交流「平溪天燈節」ツアーの一番の魅力はその価格。平溪天燈節のツアーは、台湾旅行に特化したにこまるツアーやベルトラでも期間限定で取り扱いがあるのですが、価格がスペシャルイベントのため1人17,000円前後と高くなります。
しかし、このJTB三重主催の平溪天燈節ツアーはなんと1人9,000円!と魅力的な価格になっていて、思わず飛びついて申し込み参加することに(笑)。
ツアー当日は、台湾台北の「中正記念堂」の広場に集合し、専用の観光バスで平溪天燈節の行われている十分老街へと向かいます。
観光バスで会場「平渓・十分老街」へ
平溪天燈節は、1年で1回、旧暦で1月15日に開催されるということで、旅行日程を合わせるのは非常に難しいため、参加人数はそれほど多くないのでは?と侮ってましたが、実際には集合場所の中正記念堂は非常に沢山のツアー参加者が訪れており、私達は複数台のバスに分かれて目的地の平渓・十分老街へと向かいます。
ツアー参加者の年齢層は幅広く、20代~70代、3世代ぐらいの家族グループで参加している人たちも居た感じでした。平溪天燈節は台湾で行われている大きなお祭りですが、日本人にも非常に人気が高いことがよくわかります。
平渓は一般車の乗り入れ不可
平渓天燈節は非常に多くの人が訪れるということで、フェスティバルの当日は一般車両は平渓地区への入場は禁止されており、現地へは許可されたツアー車両や電車のみがアクセスできるようになっています。
十分老街はとんでもない人
十分老街の中に入ると、これまたとんでもない人の数に圧倒される私達。まともに歩くことができないぐらいの人混みを目の当たりにして「あぁ、とうとう平渓天燈節にやってきたんだなぁ」という実感が湧いてきますが…ちょっと、これは人が多すぎてまともに前を向いて歩けません。人波に勝手に背中を押されて前に進んでいます(笑)。
この中で2時間潰すというのは、天燈節が始まる前に疲れ切ってしまいそうな悪い予感がしてこなくもない…。ともあれ、せっかくなのでこの平渓天燈節当日の十分老街の様子を下のショートムービーに収めておいたので、チェックしてみてください。
せっかくなので「台湾麦酒」を飲む!
人混みの流れに身を任せて歩いていると、ふと、おじさんが店頭で飲み物を売っているところを見つけました。冷蔵庫の中にはキンキンに冷えた台湾麦酒(ビール)。
モリオ:「これは飲むしか無い!」
というわけで、私達は台湾ビール350mlを1本40TWD(約200円)で購入。ビールを片手に歩きながら、このカオスな十分老街を楽しむことにしました(笑)。
それにしてもこんなお祭り騒ぎの場所で、ビール1本200円程度というのは安くないですか?。さすが台湾です。
写真でミヅキがダウンジャケットを着ていますが、台湾の旧正月の時期はとても寒い日が多いです。特に十分老街あたりは台湾でも北の方になるので暖をとれるジャケットなどは必ず持参しておきましょう。
人混みと屋台
十分老街には夜市のように沢山の屋台も軒を連ねてるんですが、さすがにこの人の数だと落ち着いて食べられるスペースがありません(汗)。でも屋台の熱気を感じるだけでもワクワクします。
台湾は夜市文化が日常にある国。このお祭り騒ぎが楽しめるかどうかが、台湾旅行を楽しむ秘訣なのかもしれません。
十分老街は鉄道駅を中心に栄える小さな町
ランタン上げで有名なこの十分老街は、鉄道の線路をまたいで様々なお店が軒を連ねるノスタルジックな町並みが魅力の小さな町。この懐かしい雰囲気の町並みも、この場所の魅力の一つと言えるでしょう。
ただまぁ…台湾の屋台でおなじみの臭豆腐屋さんもあるので、あの臭いにおいは、この十分老街でも健在です(笑)。
台湾鉄路公司の電車
十分老街の鉄道駅「平渓」には、本数は少ない(1時間1本ほど)ものの、時折上のショートムービーのように台湾鉄路公司(台鉄)の電車が線路をゆっくり通っていきます。
この電車は非常に間近を通り過ぎていくため、ここを訪れた人は思い思いにスマホやカメラを構えて電車が通り過ぎていく様を撮影します。また線路の上は電車が通っていないときは、一般の天燈上げの場所にもなっているので、電車が通り過ぎるとすかさず天燈上げの用意が始まったり…と、なかなか忙しない風景が見て取れます。
十分老街の観光名所「静安吊橋」
またこの十分老街の駅のすぐ近くには、観光名所の「静安吊橋」があり、その歴史を1947年に遡ることができます。当初、この橋は炭鉱の輸送用として建設されましたが、今では平和渓区の風景を一望できる観光スポットとなっています。
基隆河を跨ぐ長さ128メートルのこの吊橋は、青と白の色合いで、台湾の日本統治時代に建設された、歴史的にも興味深い吊り橋となっています。
「平渓天燈節」のランタン打ち上げ会場へ
そうして何だかんだで十分老街での2時間の自由行動を終え、私達はツアーの集合場所へと戻ります。天気は少し崩れ、十分は肌寒い小雨の天候に。このツアーでは、レインコートの持参が推奨されていて、私達もレインコートを準備していたので羽織って雨に備えます。
この十分老街から「平渓天燈節」の会場までは約1kmの距離があるので、私達はツアーのガイドさんの案内に沿って会場へと歩き出します。
さらにヤバい人混みの中
会場が近づいてくるに連れ、会場へと至る道はヤバい人混みになっていき、ウカウカしているとガイドさんを見失ってしまいそうになるほど。…というか、JTBのガイドさんは急いでいるのか非常に早足で前へ前へと進んでいってしまって、ツアーの参加者が置いてけぼりになるような感じになったり(汗)。
また、道中では予定の場所を通り越して奥に進んでしまって、一旦引き返すことになったり…と、きっと私達のグループを受け持っているガイドさんにちょっと微妙なところがあったのかもしれませんが、この恐ろしい人混みの中、なんとか迷子も出ずに目的地にたどり着くことができました。かなり疲れましたが(笑)。
ランタン打ち上げの待合広場へ
そうして歩いてたどり着いたランタン打ち上げの待合広場の様子がこちら。ランタンの打ち上げは、参加者それぞれにグループが割り振られていて、そのグループごとに待合場所から打ち上げ会場に入って、一回に200ほどのランタンを一気に空に上げ、終わったら会場から出ていく、という流れになっています。私達もここで自分たちのランタンを打ち上げる瞬間を待つことになります。
空の上には無数のランタン
そうして私達の頭上には、会場から無数のランタンが歓声と共にどんどんと夜空に打ち上げられていきます。
ちなみに、この平渓天燈節の現地ツアーには、天燈上げを行わずランタンが打ち上がる様を見るだけのプランも用意されていますが、そのプランだと多分、このショートムービーぐらいの景色しか見えないのではないかと予想されるます。
せっかく年に一度の平渓天燈節に来たなら、移動はかなり疲れるけれど自分でランタンを上げるプランを申し込むのがおすすめです。
ランタン打ち上げ会場の中へ
そうして私達のランタンを打ち上げる順番が回ってきました。順に打ち上げ会場の中へと入っていきます。
打ち上げ会場の中もとんでもない人の数で、よくこれで順番とか統制が取れているなぁと。参加している私達本人が、自分が一体何をしているのか、ふと分からなくなりそうなくらい会場はごった返しています。
打ち上げるランタンに願い事を書き込む
打ち上げ会場の中に入って自分たちの決められた打ち上げポイントに行くと、大きなランタンと、ランタンに願い事を書き込む用の油性マジックが手渡されます。
このランタンの打ち上げは4人1組で打ち上げるようになっていて、事前のバス移動の時にそのグループ分けも発表されています。私達は東京から来た若い夫婦の方々と一緒にランタンを打ち上げることになりました。
ランタンの側面にそれぞれの願い事をしたためるのですが、会場で用意されているマジックは細いので、できれば自分で極太のマジックを持ってくるほうが良いかもしれません。
平渓天燈節でいよいよランタンを空へ
願い事をたくさん書き込み、いよいよランタンを空へと打ち上げます。願い事を書き終わったランタンの下に炎が灯されると、ランタンの内側には上昇気流が生まれて、ランタンが空へと上がろうとするので、一斉の打ち上げ合図があるまでしっかりと足と手で押さえておきます。
そうして打ち上げの合図が来たら、ランタンから手と足を離すと…自分たちの見上げた先には、息を呑むような天燈上げの風景が広がります。その時の様子を上の2分程の動画に収めましたが、この瞬間は本当に感動的で、頑張って平渓天燈節に参加して本当に良かったと思えた瞬間でした。
ちなみに、このランタン打ち上げの際に、ランタンを真っ直ぐしっかりと押さえていないと、上の動画の最後の方に収録されてますが、下の炎がランタンに燃え移ってしまって残念なことになったりするので注意が必要です。
ランタン内に火をつけて持つときに周囲の係員さんから「真っすぐ持ってしっかりと足で抑えてください!」と何度か声掛けがありましたが、それでもやっぱりこうやって燃えてしまうこともあります。ランタン内の上昇気流はかなり強いです。
自分たちの願い事が書かれたランタンが目の前で燃えてしまうと、なんとも言えない気分になるので、このランタンの打ち上げのときは気を引き締めて臨みましょう。
ランタンを打ち上げたら会場を出て帰路へ
感動のランタン打ち上げのあとは、足早に会場を出て帰路へと着きます。この帰り道もとんでもない人で、電車やバスなどの公共交通機関には「本当に今日帰れるの?」と思うようなとんでもなく長い行列が出来上がっています。
この平渓天燈節は、自分で個人で参加することもできるとは言っても、この現場のカオスぶりを見る限り、旅行者は大人しくツアーに参加するのが一番懸命な選択肢ではないかと思います。
疲れてぐったりバスの中
あの人混みの中、歩き続けてようやくたどり着いたツアーバスの中。あとはボーッとしていれば、最初の集合場所である台北の「中正記念堂」まで連れて帰ってくれます。バスの中もみんなぐったりして口数も少なく寝ている人も居ます。それにしても本当によく歩いたし疲れました…。
ツアーのお土産
帰りのバスの中では、今回の平渓天燈節ツアーのお土産として可愛らしい台湾茶が各ゲストに配られました。
このお土産のお茶は、平渓天燈節の舞台である新北市・平渓で生産されている台湾茶で、平渓のお茶は台湾茶の中でも特に風味豊かな茶葉が生産される地域として知られています。
最後に手渡してくれるお土産にも、平渓の地元のものを用意してくれているところは、さすがJTB企画のツアーです(嬉)。
平渓天燈節ツアー終了!
こうして台湾最大のフェスティバル「平渓天燈節」のツアーが終了。中正記念堂前でバスを降りて解散となりました。とんでもない人の数に圧倒された会場でしたが、一斉にみんなでランタンを打ち上げたあの瞬間は、本当に感動的で忘れられないひとときになりました。
台湾ランタンフェスティバル「平溪天燈節」まとめ
台湾最大のランタンフェスティバル「平溪天燈節」。この旧正月15日に開催されている平溪天燈節は、私が昔から一度は行ってみたかった海外の催しの一つだったのですが、実際に行ってみた感想は、想像通り「一度は行ってみるべき!」お祭りでした。
ツアーの道中は人の流れに飲み込まれてはぐれそうになったり、小雨が降って寒かったり、想像以上に歩いて足が痛かったりとなかなかヘビーな環境でしたが、それを乗り越える価値のある感動が、あの一斉のランタン上げにはありました。
台湾ランタンフェスティバル「平溪天燈節」は、1年に1度しか催されていないお祭りなので、それに合わせて台湾旅行を計画するのはなかなか難しいところはありますが、行ってみたいなぁと思ったときは、このツアーレポートを参考に、ぜひあの感動の天燈上げの風景を体験してみてください!それでは♪
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